闇風
日中は陽が照り上げ、身体が熱を吸収し、汗という汗が噴き出つつある卯月の午後。
ヴァンパイアの類共が嫌う理由も多少なりとも理解出来た事であろう。
影を好むのもまた、一興。
陰と陽により、世界は完成している。
陽、つまり太陽が去ると同時に、夜の涼けさが到来する時の血の滾りのそれは、もはや筆舌で表現し得ない領域に達している。
月の降臨、それは我々に安堵を与える。
それと共に、強くもなく弱くもない、
所謂、丁度良き風が我々を歓迎する。
風(あれ)は果たして、祝福の舞か。
はたまた地球の寝息か。
まさに神のみぞ知るに尽きる。
今宵もまた、星々の下で人々は円舞曲流れる世界にて繰り広げる事であろう。
愚者の舞を。
「漆黒の混沌、一丁あがり。」