暗夜
この時期は特に、夜が長い。
夏でいう夕方も、冬では夜と化す。
星々が目を覚ますのも当然の如く早い。
今宵の三日月もまた、満遍の笑みを浮かべ、
私たちを見下ろしている。
そうかそうか、そんなに嬉しいか。
心すら見透かされているのではないかと思いつつも街灯に照らされた道路の真ん中を優雅に歩く。
闇は、深い程に自分を見失いかけない。
光に頼るな、とは言わない。
だが、頼り過ぎても足元を掬われるだけだ。
道を照らす光がある事を当たり前と思ってはいけない、、、
"当たり前"は、速攻で消滅する。
子供の頃の風景も、大人になれば変わる。
当たり前の事など、一つもない。
そう、我々の人生という名の旅路もまた、
当然のルートなど存在しない事を、此処で言わせてもらおうではないか。
「過ぎ行く日々は、
まるで吹き荒れる風だな。」